【昨日のヘェ~】アルツハイマーの事情?タクシー車内で聞いた悲哀。
タクシードライバーは時々「なんとも言えない気持ち」になる。見てはいけないものを視てしまう。うゎーっ、というか、あいやー、というか、、、
(はじめての方はこの記事から)
先日はまた久しぶりにそんな気持ちになった。場所や年齢は省きます。
都内の某ファッションタウン。中年女性がわたし大江戸のタクシーに手を挙げた。
両手に世界的ファッションブランドの袋を抱えて乗ってきた。
「あのね、まず〇〇の自宅まで行って、もう一人乗せてから、そのまま〇〇の〇〇病院まで行ってもらいますから、、、」
そのご自宅までの道すがらの雑談で、
「、、、うちの主人がアルツハイマーで、、、自分が絶対正しいって信じてるし、他人を信じない。1時間前のことさえ覚えてないんですけど、病気ですから仕方ないですけど、、、(愚痴が続く)、、、」
「、、、そうなんですか、でも、奥さんがそうやって病院連れてってくれたり、、、もしも夫婦仲悪かったりしたらそりゃそうはいきませんよね、、、」
「、、、夫婦仲がどうとかっていうことじゃなくて、そうなれば嫌でも面倒見るんですよ、、、そりゃね、周りの人はみなさん「えらいわねー、よくできるわね。あなただからできるのよ」とかって言われますけどね、、、まぁ、アルツハイマーの人なんかと普通の神経じゃ一緒に居られるもんじゃありませんよ、、、」
「そうなんですか、いやー、奥さんみたいな人が面倒みてくれるんだからご主人もツイてた。幸せですね、、、」
、、、話しているうちにまずは自宅に到着した。
そこにはもうすでにひとり旦那さんが外に出てこのタクシーが着くのを待っていた。
旦那さんはカジュアルなポロシャツにラフなジーンズ姿。奥さんより15-20歳くらい年上だろうか。
奥さんはそそくさと家に入り、旦那さんは一人先にタクシーの後部座席に座り、雑談をしながら奥さんが乗り込むのを待った。
「、、、〇〇病院までですよね?」
「、、、うん。、、、しかしこの先のあの木も大きく育ったよなー、、、あれは俺が神戸にいた時だから〇〇年くらい前かなあれを植えたのは、、、〇〇病院までのルートは、、、、それから、、、そのあとは、、、がいいと思うんだけど、、、道もあんまり大きくは変わってないのかなぁ、、、」
あれ? そういうのは覚えてるってこと???
「しかし、遅いな(奥さんのこと)、、、これがいつも長いんだ。、、、しかし、若い女房なんかもらうもんじゃないな、、、まぁ年齢だけじゃないけど、常識的には5歳くらいまでの差まででしょうね。あまり話が合わないと嫌になるね、、、」
「、、、年齢っていうよりも、相性が合う合わないってことじゃないですか? 年の差カップルでも相性のすごくいいカップルもいるわけですから、、、」
「そうだね。、、、お、(奥さんが)やっと来たよ」
奥さんも後部座席に乗ったが、いきなりマシンガントークが始まった。
「お待たせしました。、、、あなたね(ご主人へ)、わたしがきれいな洗った服出してリビングに置いたのに、何?その汚いシャツ。それ、嫌味なの? 病院に行くんだからみっともないでしょ。私に恥かかせる気なの? あなたそれ汚いと思わないの? アルツハイマーだからってとぼけて嫌がらせするんじゃないわよ、、、」
「、、、べつにジーンズなんだから汚いわけじゃないだろ、、、」
「なに?そのポロシャツ。わざとシワのついたのなんか着なくていいじゃないよ、、、。運転手さん、家に戻ってちょうだい、、、、今すぐ!」
「はい。わかりました。ご自宅に戻りますね(やれやれ)」
ご主人がポロシャツを着替えて乗ってきたが、正直、冷静に見ても、べつに大した違いはないわけで。
病院まで30分くらいかかったが、最後まで奥さんのマシンガンは激しく撃ち続いた。
これじゃ、アルツハイマーにでもならなきゃ逃げ場がないじゃない?
、、、病院に到着。
奥さんがカードで精算して先に降り、ご主人も続いてすぐ降りたが、
降車の際、後ろを振り返り「お忘れ物はありませんか?」ときまり文句で声をかけるわたし大江戸をちらりと見て、
「、、、ありがとーな(^^;)」
と一言、哀愁の微笑みを浮かべて力なくよぼよぼと降りて行った。
、、、この寸劇というか車内のシーンは、俺一人しか観ていないんだなー。
タクシー車内はときどきこんな風に「なんともいえない気持ち」になるのだ。
、、、今回の「大江戸たくどら日記」、、、完。
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♫ 勝手にエンディング曲 m(__)m
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by 大江戸巧氏(おおえどたくし)
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